久留米の情報誌SECOND。見かけたら手に取ってあげてください。僕のコラムも載せてもらってます
徒然(とぜん)なか日記
題名:「目があうと石になります。」
一番身近にいるのに、一番顔を見る時間が短いのはだーれだ?
答えは、”自分”だ。
自分の姿は鏡を見ない限り、見ようがない。
もし、幽体離脱できれば見れるのだろうが、残念ながら、まだ、その機会を得たことがない。
僕は、鏡を見るのが苦手だ、多くの男性もそうだろうと思う。
自分を見るのが恥ずかしくて仕方がない。
女性はなんで平気なのだろうか。
一生涯で、鏡で自分の顔をみる時間を男女で比べてみたら、相当な差があるはずだ。
10倍以上の差はあると思う。女性は生涯でどのくらい自分と見つめ合っているのだろう、確実に、彼氏や夫よりも長い時間、見つめあっている。
朝、顔を洗うときもなるだけ目が合わないようにしている、ギリシャ神話のメドゥーサと目が合うと石にされてしまうらしいが、男にとってのメドゥーサは自分ではないだろうかと思う。
目が合うと石になるぞ、目を背けなくてはと思うのである。
唯一長時間目が合うとすれば、髪を切るときだ、もはや逃げようがない大きな鏡が自分の方に向かっている。
あのときは、どんな顔をするのが正解なのだろうか、変な顔を長時間するには僕の表情筋の持久力がまだ足りない。
女性は、朝から鏡の中の自分というキャンバスに向かう作業があるので、自分を見ない日はないのだろう。
アイメイクなんぞするときはバッチリ目が合っているだろうから、女性はメドゥーサではないのだろう。
自分の顔は嫌いだと苦手な方もいるはずだが、格段に自分の顔に対する耐性がある。
歳をとっても、女性は鏡を見るのは平気なようだ。シンデレラに出てくる魔女(老婆)も「鏡よ鏡よ鏡さん世界で一番奇麗なのはだーれ?」と平気で聞く始末である。
鏡が忖度(そんたく)して、「はい、世界で一番奇麗なのは魔女さまです。」と言うと思ったのだろうか?
どう考えても、魔女以外の誰かになるのじゃないかと思う。
いや、しかし魔女のように根拠なき自信を持つのもいいのかもしれない。
鏡はいろんな場所にある、たまに車のサンバイザーについているが、他の人が運転した後にサンバイザーの自分の目と目があうと、どうしていいのか分からなくなる。
事務所で女性が使う席に座ると、時々手鏡がこちらを向いていたりする。化粧直しをするためか、ピンポイントの角度で置かれているのである。
わかって欲しい、男はメドゥーサなのだから。美男子のナルシスも水面に写る自分に見とれて死んでしまった。
やはり、男にとって自分を見るのは禁忌なのだ。
魔女のような不屈のメンタリティを持つには、修行が足りないのである。